• 旅立ちの歌 全曲解説

  •  「COTTON100%」のなかにこんなフレーズがある。
     

    たとえばこの平均台を歩いていけば、安定した地位や名誉や成功が待っているよと誘われる。もしもそこから落ちたらば、真っ暗闇の地獄だぞって脅される。みんなあせって青い顔してバランスとって、このせまーい一本道をだまって行進してくんだ。 オレだって、踏みはずしたときゃビビったよ。ところがだ、落ちてった先にはいったい何があったと思う? 地面だよ。 落ちろ! 落ちろ! 落ちろ! そして目覚めろ!! いいかい、くもりない目で、クリアーにものを見るんだ。教育やら情報で汚れちまったまぶたをぬぐってね。ジャンキーやケモノのように自分に必要なものだけを選びとるんだ!

     

    若者は言う。「なにかしたいんだけど、なにをしていいかわからない」
    当然だ。せまい日本社会しか知らないで育った者には、2,3枚のカードしかない。
    まずは選択肢のカードを集めることからはじめよう。
    それには旅しかない。
    世界中を旅して集めたたくさんのカードの中から、必ずきみがやりたいことが見つかるはずだ。
    つべこべ悩むひまがあったら、まずは旅立て!

    沖縄本島の読谷(よみたん)の海にほど近いところに「チビチリガマ」という洞窟がある。戦時中ここは避難壕としてつかわれていた。当時の皇民化教育によりアメリカ軍が攻めてきたら自分たちは殺されると思い込んだ住民たちは、アメリカ軍に殺されるぐらいならその前に自分たちで死んだほうがいいと教えられてきた。
    もうひとつの避難壕「シムクガマ」に逃げこんだ人たちの中にはハワイ帰りの日系人がひとりいた。「いくらアメリカ軍といっても同じ人間だ」と死を選ばなかった彼らは生き延び、チビチリガマにいた140人は集団で自決した。貧しい農民たちは銃や刀や青酸カリもない。
    父親が草刈鎌で自分の子供たちの喉を切り、妻、両親、最後に自分の首を切った。
    その洞窟で歌わせてもらったのがこの歌だ。

  • ウチナーグチ(沖縄語)講座をしよう。「なんくるないさ」は、だいじょうぶとか、なんてことないさって意味で使われる。

    ウチナーグチでいちばん好きな言葉だ。

    あれだけ悲惨な歴史をくぐってきたウチナンチュ(沖縄人)がいう「なんくるないさ」はとてつもない重みを持っている。

    「にちむどんどん」は、胸がドキドキって感じで、チョーかわいい響きでしょ。

    「いちゃりばちょーでー ちむぬわてぃーち」は、出会ったら兄弟 肝はひとつって意味だ。

    彼らのオープンハートと仲間をむっちゃ大事にするホスピタリティーが凝縮されている。

    「ちちぢむーどぅ かなさぢむ」は、近づいてくる人の心こそ愛しい心という意味だ。人生の中で出会える人は限られている。

    60億のなかからわざわざ自分に近づいてくれる人は、過去世でも縁があり、大切なソウルメイトだ。
    「ぬちがふーどぅ しでぃがーふー」は、命は果報 生まれたのは果報という。

    空の待合室にいる無数の魂から今回自分が選ばれるというのはなんというギフトだろう。
    「にふぇーでーびる」は、ありがとう。「かなさんど」は、愛してる。
    このふたつだけは、なにがなんでも覚えていくように。

     

    4. 100億光年の孤独

    1960年に天文学者フランク・ドレイクはアメリカ国立電波天文台でオズマ計画(英語:Project Ozma)というものを立ち上げた。

    いわゆるエイリアン、地球外の知的生命体を探すプロジェクトである。

    2010年10月、オーストラリア・ウエストシドニー大学のラグバー博士は、銀河の彼方から地球外知的生命体らしき存在からのパルス信号が発信されている事を明らかにした。地球外の文明による信号の可能性があるという。
    宇宙に限らず、人間のもっとも基本的な叫びは「わたしはここにいる」だ。
    一生の間、人は絶え間なく「ねえ気づいて、わたしはここ、ここにいるよ」と発信し続ける。
    存在の根源をえぐった宇宙的スケールの歌だ。

  • 5. 落涙

    自分で書いたのに、恐るべき詩だ。
    大和言葉で書かれた1行1行が和歌のような優雅さと凝縮力を持っている。
    古人たちのおくゆかしさは、人間的感情を視線描写に託して表現するところだ。

    アメリカインディアンやアイヌ民族と同じように、人と自然の間にボーダーはなく、すべてが映し鏡のように世界を見ていた。

    名もなき花に神は宿り、神とは自分そのものだと感じていたのだろう。
    4番まで春夏秋冬、恋のはじまりから死まで人の一生が織り込まれている。

     

    6. リストカッター

    こんな話がある。
    看護士をしているお母さんは、夫がある事件を起こし服役中なため働き通しだった。
    18歳になる娘はお父さんのことでイジメにあい、中学からずっとひきこもったままだ。
    人に会うのが怖く買い物にさえでられない。

    母の苦労がわかっているだけに、気苦労ばかりかけている自分の存在を消してしまいたいと思っていた。
    母に内緒で大量の農薬を手にいれ、服毒自殺を決意した。
    ふと母の部屋をのぞいてみると、一枚のCDが机の上にのっていた。

  • 7. Sorry

    ひきこもりや元ひきこもりの友人たちがたくさんいる。みんなやさしいやつらだ。

    当事者や親たちの会で講演に呼ばれたりするが、子供がひきこもることで、親がもう一度自分自身の生き方を見つめなおすきっかけになったりする。

    大人たちは「経済至上主義」というハメールンの笛吹に踊らされ、絶望の崖っぷちにむかって行進していることに気づかない。

    「競争社会」というウイルスに感染すると、思考停止、視野狭さく、物質依存、異物の排斥、嫉妬、行動パターンの画一化、個人行動不能、自主性の喪失、想像力の欠如、創造性の欠如などの症状が起こる。

    立ち止まって考えようとすると後ろから押され、やじられ、蹴飛ばされる。その行列から飛び出した人々、それがひきこもりであり、新しい子どもたちではないか。ひきこもりは社会というウイルスに対する正常な免疫反応だと思う。

    ハメールンの行列から抜けるのには、とてつもない勇気がいる。

    ひきこもるのもたいへんだ。腕を引っぱられ、望んでないのに励まされ、社会のクズとののしられ、しまいにゃ病人扱いされる。

    人類自体が自然や宇宙からひきこもっているのだから、それにNOを突きつけるやつらのほうがまともなのだ。

     

     オレたちは宇宙的引きこもりの時代を生きている。

     

    8. もしもぼくが死んだら

    オレの葬式ではこの曲をかけて陽気に踊りまくってほしい。たくさんの人が集まって祭りをしよう。

    AKIRA歌をみんなで歌ってほしい。墓はいらない。

    おやじの骨を散骨した女峰山の頂上もいいな。とにかく悲しまないで祝福してほしいんだ。

    シアトルにいたドゥワミッシュ族は「死は存在しない。生きる世界が変わるだけだ」と言った。

    死後の世界を、古代エジプト人は「アメンティ」、ヘブライ人は「バーディッシュ」、ゾロアスター教は「メノグ」、アボリジニは「アンジェア=ドリームタイム」、チベット人は「バルドゥ」、アイヌは「神の国=カムイモシリ、または死者の国=ポクナモシリ」、沖縄人は「後生=ぐしょう」と呼んだ。

    オレたちは「そこ」からやってきて「そこ」にかえっていく。いわば「魂のふるさと」である。

    ここ40年ほどで世界中の心理学者や精神医学者や臨床医師が膨大なデータを集め、「死後の世界」の科学的研究が飛躍的に解明されている。

    その理由は、

     1.緊急医療の発展による「臨死体験」の増大。

     2.戸籍の整備による、「前世をおぼえている子どもたち」の追跡調査。

     3.退行催眠による「前世療法」の拡大などである。

     

    オレたちは輪廻の車輪をめぐって永遠に返りつづける。

    だから「see You again」と笑って送り出してほしいんだ。

  • 9. Be here now

    ハーバード大学心理学部教授だったリチャード・アルパートは、ティモシー・リアリーとともにLSDやキノコを通して意識変容を研究した。

    LSDをかかえインドにわたったアルパートは、聖人ニームカロリババに出会い、瞑想の道に進む。

    ババ・ラムダスと命名され、スピリチュアルムーブメントを牽引する存在として多くの人に教えを説いてゆく。

    彼の悟りの本質が「Be here now」という言葉に凝縮されている。

     「今ここに在れ」

    過去や未来は本来存在しない。在るのは花火のように連続する今だけである。

    ならば全身全霊で今ここにある自分を生きろ。

     

    10. Born to love

    「ぼくらはなんのために生まれてきたんだろう?」

    これは人類永遠のテーマである。その答えを探して30年間旅してきた。

    たとえば、子孫を残すためとか、何事かを成し遂げるためとか、社会を変革するためとか、自然を守るためとか、いろいろあるだろうが、究極の答えがこれだった。

     

     「ぼくらは愛するために生まれてきたんだ」

     

    愛とは男女間の恋愛感情だけではなく、孤独も、悲しみも、怒りも、喜びも、すべての川が帰っていく海のようなものだ。嵐のように荒れ狂うときもあれば、鏡のように静まるときもある。そして無数の命をはぐくむ子宮でもある。不思議なことに怒れば怒るほど自分が磨り減っていくが、愛すれば愛するほど自分が豊かになっていく。愛とはわたしたちそのものなのだ。

  • 「舌苔を陽にさらせ」というのは、「言葉にしろ」、「表現しろ」、「さらけだせ」という意味である。

    23歳でニューヨークに移り住んだオレにとって、学校はストリート、先生はドラッグだった。

    人間の意識がどこまで拡張できるのか知りたかった。

    マリファナ、LSD、マジックマッシュルーム、スピード、自分の体をすりへらして人体実験をつづけた。

    オレは孤独に打ちのめされながら麻薬へと溺れていく。コカインの売人になり、自分のためのジャンク(ヘロイン)を打ちつづける。

    麻薬ギャングのような生活で、仲間の売人が親元の金を盗んだ翌日イーストリバーで水死体となって発見されたり、拳銃をこめかみに突きつけられたり、友人がエイズで死んだり、まるでタランティーノの映画のような生活だった。

    これはオレが24歳のころ死ととなりあわせのなかで書きなぐった詩だ。

    ヒリヒリするような苛立ちと、氷の刃のような鋭さがある。

    今どんなに逆立ちしてもこんなすごい詩は書けない。

    日本文学史において、もっとも危険な詩だろう。

     

     おまえの舌苔を陽にさらせ

     

    12. おやすみ

    人類滅亡の廃墟に流れる歌だ。

    悪夢のような苦しみをくぐりぬけたあと、

    傷だらけの体を横たえ、

    この歌を聞きながら永遠の眠りにつきたい。

  • 旅立ちの歌

    2011年1月リリース。12曲。2500円。